施設紹介

2017年5月16日 NEW

誰もが地域と途切れることのないよう、 “施設と地域の融合”をめざしています

施設紹介

小規模多機能施設 めおといわ「ゆい」 ー 医療法人社団誠仁会 ー

画像:机の前に座ってブラシを右手に持った利用者の方にテレビの前に座って話している施設長の党さんの様子。
画像:石階段に手摺とスロープがついた入り口の奥に白い壁の2階建ての施設がある様子。
小規模多機能施設めおといわ「ゆい」

【小規模多機能型居宅介護とは?】
 住み慣れた自宅や地域での生活が続けられるように、「通い」や「訪問」「泊まり」といったサービスを柔軟に組み合わせて利用できる地域密着型サービスの1つです。同じ場所で、顔なじみの利用者同士や職員が継続的に関わることができるので、特に環境の変化を嫌う認知症の方々の不安を和らげることができます。

【理念】
 小規模多機能型居宅介護は登録制で、めおといわ「ゆい」では、福岡市堤地区を中心に現在20名が登録。要支援2から要介護5までの高齢者が、同施設のサービスを利用しながら自宅での生活を継続しています。「自立支援」「自己決定」「日常生活の継続」をモットーに、地域福祉事業を進展する役割を果たすことで当事者と地域との結びつきを切らない支援をめざしています。

【施設・事業所の成り立ち】

平成18年 めおといわ「ゆい」開設
平成21年 認知症サポーター養成講座開始
平成21年 劇団「つつみ」誕生
平成25年 「つつみカフェ」オープン

「通い」「訪問」「泊まり」を組み合わせ、利用者と地域を結ぶ介護サービスを提供

画像:白い壁の部屋で右手を軽く上げてインタビューに答える党さんの様子。
施設長の党一浩さん

 小規模多機能型居宅介護は、「通い」「訪問」「泊まり」の3つの機能を柔軟に組み合わせることで、「その人の望む暮らしをどうやって支えるのか」を考え、実現するサービスです。小規模多機能施設めおといわ「ゆい」は、これまで通りの暮らしを続けたいと望む本人と地域とのつながりが途切れることのないよう、最大限に支えることをモットーとしています。

「介護が必要になると多くのケースでは、介護サービスが介入するのと同時に、これまではさりげなく気にかけてくれていた近所の人も、『介護事業所が入ったのならば…』と専門家に任せがちになります。この“サービス提供促進主義”が働いてしまうことで、地域とのつながりが途切れるという構図があちこちで見られました。しかし、それは本人の望む暮らしとは程遠く、地域社会から乖離(かいり)してしまい、どんなに自宅で暮らし続けたいと願っても、あきらめざるを得ないというのが現状でした」と施設長の党一浩さん。

 そこで、めおといわ「ゆい」がめざしたのが、“施設と地域の融合”です。介護事業所が利用者本人と地域を切り離すのではなく、結びなおす役割を担うということでした。

他人事ではなく自分事で考えられるよう、地域全体の機運を高める

画像:木材に青い実と葉が描かれて中央には施設の名前が描かれている看板。
 

 利用者本人と地域を結びなおすには、仕掛けが必要です。その1つとして、事業所が開催する運営推進会議を活用しました。会議には、地元自治会の役員や民生児童委員、行政や社会福祉協議会、地域包括支援センターの職員など約20名が参加します。議題として、課題を抱えているケースを事例として挙げます。「介護事業者だけでは、その人の暮らしを支えきれないこと、良質な関心やちょっとしたサポートが必要なことを訴えます。そして、みんなで、どうすればその人を支えられるかを一緒に考えます」と党さん。

 さらに、平成21年からは堤地区で認知症サポーター養成事業をスタート。地域、行政、めおといわ「ゆい」の3者協働で、「認知症でも安心して暮らせる地域づくり」を推進し、認知症や介護の課題を他人事ではなく、自分事と捉える気運が盛り上がりました。 その結果として誕生したのが、認知症を啓発する住民有志で旗揚げした「劇団つつみ」や認知症サポーターが主体となって運営する「つつみカフェ」です。

 劇団の活動は8年が過ぎた今も継続しており、さらに活動の輪を広げています。また、月1回のつつみカフェには、毎回、地域の人を中心に約100名が訪れます。オープンして丸4年を迎え、地域コミュニティの場として定着。高齢者だけではなく、障害のある人や子育て中の母親なども参加するようになり、ユニバーサル・カフェとして“進化”したことで、現在は「認知症」の看板を外して開催しています。

地域に芽生えた支え合いの芽を育む

画像:ガラス張りの本棚の前にあるベッドに寝ている利用者の方に前屈みで目線を合わせて話しかけている党さんの様子。
 

 めおといわ「ゆい」で支えている、ある高齢者は、ゴルフが趣味です。「訪問」のサービスを受けながら、ゴルフの練習場に行くことを楽しみにしています。練習場までは職員が付き添って歩きます。そんな2人を地域の人が優しく見守り、声を掛けます。

 あるご夫婦は、寝たきりの妻を90代の夫が介護しながら、40年来住み慣れた自宅で2人暮らしを続けています。訪問を中心としたサービスを受けながら、夫は趣味のカメラを手に庭先の花を撮影したり、天気の良い日は車いすを押して妻を散歩に連れ出します。「いつも職員さんが気にかけて、家にきてくれる。まるで家族が増えたみたい」(夫)。夫婦はつつみカフェの常連で、地域の人たちも2人の暮らしを優しく見守っています。
「介護事業所の役割は、これまでのつながりが保たれるように利用者と地域を結ぶきっかけをつくることです。土壌をつくり、種を播くことが大切だと思います」と党さん。めおといわ「ゆい」は、地域に芽生えた支え合いの芽を大切に育んでいます。

~これから介護職をめざす方へ~

画像:白い壁の部屋でインタビューに答える党さんの様子。
 

 地域に根差した介護を実践していると、地域の人たちから育ててもらっていると実感します。介護に付き添う道中、「頑張ってるね」と声を掛けてもらうことで、どれほど励まされることか。地域密着型の小規模多機能居宅介護は、「最期まであきらめずに自宅で暮らし続けたい」という利用者を支え、本当の意味での自立支援に貢献でき、自分たちのやりたい介護が実現できます。

事業所概要

画像:木材に青い実と葉が描かれて中央には施設の名前が描かれている看板。
小規模多機能施設めおといわ「ゆい」

医療法人社団誠仁会 小規模多機能施設めおといわ「ゆい」
〒814-0155
福岡市城南区東油山1丁目33-7
電話:092-874-3300